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用語集
環境ホルモンの人体への影響
生殖機能に影響を及ぼす化学物質。

特に問題になっている点は、生殖や発育への深刻な影響です。生物の種類によって表れる障害は異なりますが、雌では性成熟の遅れ、生殖可能齢の短縮、妊娠維持困難や流産などが見出され、雄では精巣萎縮、精子減少、精子の奇形、性行動の異常等が報告されています。具体例では、アメリカのアポプカ湖ではワニの雄の生殖器が小さくなり子ワニの数が減少していることが農薬DDTとその誘導体が原因であることがわかりました。イギリスのある川では魚に雄雌同体が多数発生し、洗浄剤の中のノニルフェノールが原因ということがわかりました。世界各地のイルカやアザラシの大量死は、PCBが原因であることがわかりました。日本では、イボニシなどの貝の雌の雄化による数の減少が船底用塗料として防塗料に含まれるトリブチルスズなどの防剤が原因であることがわかっています。このように全世界で地域特有の汚染影響がでています。
人では、環境ホルモンの影響により精子数の減少が指摘され、デンマークでは1938年から1990年の間にほぼ精子数が半減したというデータが示されました。 日本でも、若者34人の精子濃度等の検査で、世界保健機関の基準を満たしたのが1名だけという報告があります。妊娠中の母体内での胚や胎児の段階での環境ホルモン暴露の影響は大きく、環境ホルモン物質で高濃度に被爆して生まれた子供には、成長の遅れや行動上の問題、女子しか生まれない等の影響があることがわかっています。環境ホルモンは極めて微量でも作用するため、とりわけさまざまなホルモンが重要な働きを示す胎児・乳児の時期に接種した影響が、成長に伴ってあるいは次世代にわたりどのような影響が発現するのか、子供が大人になってからの影響は、はかりしれず長期的な調査が必要です。
どのような物質なのですか?
全世界では、毎年1万種近い人工化学物質が開発されています。人類がこのような新しい人工化学物質を使いだしたのは、人類が誕生した200万年間の中で現代までのわずか100年間で1900万種の人工化学物質がつくられました。人類が誕生した頃からある小麦やザクロなどに含まれるホルモン物質のエストロゲンに対しては、人類は長い年月の間で影響を受けない体になっていました。しかし、この100年間で作られた1900万種といわれる人工化学物質に対しては、まだ人類は影響を受けない体にはなっていません。アメリカの環境ホルモン学会では、今までに作られたこの人工化学物質に適応できる人類になるには、約 2万年の年月がかかるだろうといわれています。このように生命が人工化学物質に対してどれぐらい影響するかについては、今までの100年間程度のスパンでは影響を図りしることはできないといわれています。近年、アメリカEPAが緊急対策として環境ホルモンの人体影響について7万5500種類の人工化学物質についてスクリーニングテストした結果、環境ホルモン物質は、1種類の化学物質だけで生体への影響を見ることは現実的でなく化学物質同士が相互に混入した場合の生体影響の方が大きいことが判明しています。環境ホルモンとしては、ビスフェノールAやフタル酸エステルなど影響が確実視されている97項目とその同族体や異性体を含めると543項目が挙げられています。
なぜ、水道水中に混入するのですか?
人類が現在までに作り出した人工化学物質は1900万種といわれていますが、このような化学物質を製造する化学工場の廃水やそれらを使用した食品や飲料水、農薬や洗剤などを処理する下水処理場の廃水、し尿処理場、ゴミ処理場、畜産や農業に使用される人工化学物質が水道原水に混入し、浄水場で浄化できないものが飲料水に混入します。
水道水中にどれくらいの濃度で混入しているのですか?
毎年増えつづけるすべての人工化学物質に対応する飲料水基準を作るのは実際には不可能です。環境ホルモン物質は一つ一つの濃度で基準を決めるのではなく、その総量の値で決めなければならないのではという提案がアメリカからでています。環境ホルモン物質は、高濃度の時には生体に影響せず、微量な低濃度の時に生体ホルモンと間違って体内に取り込み遺伝子異常や奇形を引き起こすことがわかっています。水道水中での調査では、アメリカで報告のあった内分泌異常を引き起こす濃度と同程度のフタル酸エステルで0.0002mg/l程度のフタル酸エステルなどの環境ホルモン物質が検出されています。
水道法水質基準について
環境ホルモンとして直接影響が確認されている97項目です。
日本の飲料水質基準・・・・・97項目のうち7項目が該当し飲料水基準を設けています。
アメリカの飲料水基準・・・・・97項目のうち89項目が該当し飲料水基準を設けています。
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